アメリカを中心としたソウル、ジャズ、ファンク、フュージョン、クロスオーバーなどその他ブラックミュージックに影響を受けた数多くの楽曲は日本でも数多く存在する。70年〜80年代にかけてはそうした音楽が量産され、アメリカ本国のトップミュージシャンと共演した作品も多く残されている。はっぴいえんどの面々や山下達郎や松任谷由実といった大御所のミュージシャンの根底には、必ずといってもブラックミュージックの影響が見え隠れする。基本的はスタンダードナンバーですが、今回はそんな日本でブラックミュージックの影響を存分に受けた日本人のソウルミュージックを代表するアーティストの作品を幾つか紹介したいと思います。どなたかの新しい音楽の発見につながれば幸いでございます。
Hi-Fi Set / HI-Fi BLEND PART.2
Hi-Fi Set
HI-Fi BLEND PART.2
レーベル : ALFA
評価 :
1974年に結成されたコーラス・ソウルグループで、お洒落さ抜群のコーラスとアレンジで、一躍人気を博し、荒井由美作詞・作曲で数多くのヒットを生み出した。
HI-Fi BLEND PART.2は1979年に発表されたアルバムで、
「スウィング」はThe singers unlimitedばりのコーラスが心地よいナンバー
「雨のステーション」は荒井由実による作詞・作曲で、
アメリカ本国で有名なソウルグループのstylisticsのような極上mellowソウルナンバーで、トラックも素晴らしい。
サンプリングネタにもオススメな「レディー・グレイ」は、
日本人ソウルミュージックの傑作で、イントロからサビまで全て完璧な本国のソウルミュージックに負けず劣らないクオリティを持つミディアムmellowナンバーだ。全体を通して最注目を受けるシティ・ポップの大本命的作品で、日本のソウルミュージックの原点とも言える作品。
山下達郎/ For You
山下達郎
Sparkle
レーベル : AIR
評価 :
言わずとも知られる存在の山下達郎の作品で、
フュージョン、ファンク、ジャズファンク、ソウル、シティ・ポップ、ロックなどジャンルを跨ぐクオリティで、現在も圧倒的存在感で日本の音楽シーンを引率する存在の1982年に発表されたJapanese soul musicの金字塔とも呼べる作品です。
「sparkle」は稀に見る完成度のフュージョン・ジャズやクロスオーバー的な要素を持ち、カッティングギターのイントロが印象的な日本の夏を象徴するかのようなファンクナンバーに仕上がっています。他にも都会的に洗練されたメローでスムースな「Music book」、溢れ落ちるピアノの旋律が美しいバラードナンバーの「Futari」など抜群のセンスで産み落とされた世界基準の日本が誇るポップス、ソウルミュージック名盤です。鈴木英人のアートワークにも要注目です。
荒井由実 / ひこうき雲
荒井由実
ひこうき雲
レーベル : 東芝EMI
評価 :
ジブリ映画の「風立ちぬ」で主題歌となったことでも記憶に新しい1973年に発表されたひこうき雲は、
天才的音楽センスを持ち、他を寄せ付けない圧倒的歌唱力と描写性で、音楽の創造性を押し上げた日本が世界に誇るソウル・ディーバ荒井由実(後の松任谷由実)の1stアルバムである。
雨の街はピアノの旋律が美しい哀愁漂うナンバーで、レジェンド・ビートメーカーの9th wonderにもサンプリングされた。roberta flackやjanis ianといったのようなジャンルレスなアーティストの要素を持ち合わせた万人受けするポップさが魅力的だ。ファンクやソウル、ロック、フォーク、ジャズといった影響も随所に感じられ、類稀なる良質なアルバムが生み出された。日本人のソウルミュージックを語る上では欠かせない一枚です。
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