Groove Shinin' Music Guide
究極のMellow Groove・スウィートソウル特集|70〜80年代の隠れた名盤たちパート2
前回に続き、今回はLost & Foundと呼びたくなる70〜80年代の隠れたMellow Groove/スウィートソウルを厳選してまとめました。甘いコーラス、やわらかな高音、切なさを含んだメロディを軸に、夜にじっくり聴きたい名曲を整理します。
Listening Points
Sweet Soul / Mellow Grooveの聴きどころ
スウィートソウルは、派手なファンクとは違い、声の重なり、ストリングス、メロウなコード感、ゆったりしたリズムの奥行きでじわっと残る音楽です。今回の一覧では、王道だけでなく、後年のサンプリングやレアグルーヴ文脈でも再発見されてきた曲を中心に整理しています。
Album List
Mellow Groove / Sweet Soul 名曲一覧
70〜80年代の隠れた名曲を、曲単位で聴きどころが分かるように整理しました。気になった曲から試して、アルバムや収録盤へ進む流れを想定しています。
Face It Boy, It’s Over
まずここから入るのが気持ちいいです。ジャズ寄りの耳にも、ソウル寄りの耳にも自然に入ってきます。 ジャズ・ギターの巨匠ジョージ・ベンソンが1969年にリリースしたこの「Face It Boy, It’s Over」は、まさにMellow Grooveの金字塔。『Shape Of Things To Come』収録曲で、CTI的な洗練を先取りしたようなアレンジに、ギターとヴォーカルの甘さが静かに重なります。派手に押す曲ではないのに、コードの流れとホーンの当たり方が絶妙で、夜に流すと空気ごと変わるタイプの一曲です。1994年にはTHE MAIN INGREDIENT作品でもサンプリングされ、後年のヒップホップ文脈から聴き直される機会も増えました。なお、ジョージ・ベンソンは2026年時点でも公式サイトで活動情報が案内されており、この時代の録音がいまも現役で参照され続けていることがよくわかります。
Second Childhood
ここは少し視点を変えたい人におすすめです。甘さだけでなく、翳りやジャジーさまで拾える曲が入っています。 1976年リリースのアルバム『Second Childhood』からの1曲「CASH IN」は、ロバータ・フラックとも比較されるPhoebe Snowによる隠れたメロウソウルの名作。冒頭から胸に染みるベースラインと、少し湿度を含んだピアノの響きが印象的で、聴くたびに細部の表情が見えてきます。クールなヴォーカルと抑制されたホーンの配置も上手く、スウィートソウルの文脈に寄せて聴いても違和感がありません。ドライブ向きでもあり、深夜の部屋聴きにも向く。こういう“派手ではないのに残る曲”が、ジャンル理解を一段深くしてくれます。
If I Could Open Up My Heart
80年代寄りの質感が好きなら、この曲はかなり入りやすいはず。AOR側から入っても、ソウル側から入っても受け止めてくれます。 オーティス・クレイのアルバム『The Only Way Is Up』に収録された「If I Could Open Up My Heart」は、1982年当時のAOR〜スムースジャズ的な要素を取り込んだスムースソウルの好例。力強い男性ボーカルでありながら押しつけがましさはなく、柔らかなタッチで進むグルーヴとメロウネスがきれいに共存しています。70年代のフィーリングを残しつつ、音の輪郭はややモダン。そのバランスが気持ちよく、ボビー・コールドウェル周辺が好きな人にも自然につながる一曲です。
Part of Me
ハイトーンの気持ちよさを味わうなら、この曲は外せません。甘いのに軽くなりすぎない、その塩梅がとてもいいです。 モータウンに君臨したテンプテーションズのリードシンガー、エディ・ケンドリックスが1976年にリリースしたアルバム『He Is a Friend』から「Part of Me」は、イントロのストリングスとピアノループがスピリチュアルな空気を作る隠れたメロウソウルの名曲。透き通るようなハイトーンが前面に出つつ、土台ではしっかりリズムが支えているので、ふわっとしすぎません。甘さ、余韻、そして少しの神聖さ。この3つが同居していて、70年代ミッドのソウルを掘る入口としても優秀です。
Just One Moment Away
少し都会的なメロウを聴きたい夜ってありますよね。そんなときにちょうどいい一曲です。 1981年にリリースされたThe Manhattansのアルバム『Black Tie』収録曲「Just One Moment Away」は、80年代ミディアムメロウの代表格。AORに近いリズムと、しっとりしたベースラインが自然に流れ、ボーカルグループならではのハーモニーが空気を丸くしてくれます。派手なサビで持っていく曲ではなく、全体のバランスで聴かせるタイプ。夜明け前の静けさのような空気感があって、スウィートソウルの“甘さ”を落ち着いたトーンで味わいたい人に向いています。
The Different
掘れば掘るほど味が出るのがLeroy Hutsonのいいところ。すぐ派手に刺さるというより、後から効いてきます。 リロイ・ハットソンが1975年にリリースしたアルバム『Hutson』収録の「The Different」は、フリーソウル文脈でも評価の高い一曲。ダニー・ハサウェイ周辺に惹かれる人なら、この緻密なアレンジ感はかなり相性がいいはずです。タイトなリズムに、美しいストリングスと洗練されたコード進行が重なり、聴き進めるほど深みが出てきます。メロウなベースラインは落ち着いているのに、アレンジは退屈しない。そのバランスが見事で、甘さだけではない“知的なメロウ”としても聴ける名曲です。
Sunshine
わかりやすく高揚感がほしいなら、この曲は強いです。甘いだけで終わらず、ちゃんと前へ進む感じがあります。 デトロイト発のソウルグループ、Enchantmentが1977年にリリースしたアルバム『Enchantment』収録の「Sunshine」は、前回紹介した「Gloria」とはまた違う輝きを持つメロウソウル。イントロのホーンで気分を持ち上げつつ、サビではヴォーカルの甘さがしっかり残る構成です。1970年代後半のフィリー感を思わせる滑らかさもあり、コレクター受けするだけでなく、はじめて聴く人にも入りやすい。高揚感とやさしさの両方があるので、セットの中でも流れを変える一曲として機能してくれます。
My Flame
この曲は説明抜きでも気持ちいいのですが、文脈を知るとさらに沁みます。AORとソウルの境目が好きな人は特に刺さるはず。 1978年リリースのセルフタイトルアルバム『Bobby Caldwell』収録の「My Flame」は、スムースジャズ〜AORファンから長く支持されてきた名曲。滑らかに流れるピアノのイントロと、ボビー・コールドウェルの透明感あるヴォーカルが、メロウでセンチメンタルな空気を作ります。ノートリアスB.I.G.周辺のサンプリング文脈から再発見した人も多いはずですが、原曲で聴くと和声の美しさと間の取り方がより際立ちます。なお、2026年時点でも公式サイトは作品アーカイブとして残っており、このアルバムがいまも参照され続けていることを感じさせます。
Makin’ You So Happy
グループものの甘さをちゃんと味わいたいなら、このあたりも外せません。コーラスの厚みが気持ちいいです。 1977年リリースのアルバム『Shake It Well』からシングルカットされた「Makin’ You So Happy」は、The Dramaticsらしいソフトなメロウネスがあふれる名曲。軽やかに跳ねるベースラインとポップなリズムが絡み合い、男性コーラスグループならではの甘さと深みを両立させています。華やかに飾りすぎず、それでいて耳にはしっかり残る。この“ちょうどよさ”が魅力で、アルバム単位でも追いたくなるタイプの曲です。サンプリング耳で聴いても、純粋なソウル耳で聴いてもおいしい一曲。
La-La (Means I Love You)
王道を1曲入れるなら、やはりここです。古い録音なのに、いま聴いても古びないのがすごいところ。 フィリーソウルを語るうえで外せないThe Delfonicsが1968年にリリースしたアルバム『La-La (Means I Love You)』のタイトル曲は、オールディーズの枠を超えて残り続けるメロウクラシック。伸びのある歌声、切なさを含んだメロディ、そして甘く包み込むアレンジ。そのどれもがわかりやすく、スウィートソウルの基本形を体感するにはちょうどいい一曲です。まだ触れていない人なら、ここを起点にフィリー周辺へ広げていくと流れが見えやすくなります。
Who Am I
甘さ一辺倒ではなく、芯のある黒さもほしいときに効くのがこの曲。流れの中で一段深く潜れる感じがあります。 1972年リリースのアルバム『Backstabbers』に収録された「Who Am I」は、The O’Jaysが放つブラックネスあふれるメロウソウルの名曲。タイトなビートの芯は太く、それでいてメロウネスはしっかり残る。この強さとやわらかさの同居がたまりません。ヒップホップのサンプリングソースとして語られることも多く、後年の耳で聴いても“元ネタ感”では終わらない奥行きがあります。なお、The O’Jaysは2025年以降にファイナルツアーとして案内される活動もあり、いまもなお存在感が更新され続けているグループです。
Who Can I Run To
ここまで来ると、フィリーの甘さがかなり気持ちよくなってきます。女性ボーカルの伸びやかさを入れたいならこの曲です。 フィラデルフィア・インターナショナルから1979年にリリースされたThe Jones Girlsのアルバム『The Jones Girls』収録曲「Who Can I Run To」は、可愛らしさと切なさを兼ねたソフトメロウの名曲。ケニー・ギャンブル&レオン・ハフのプロデュース、デクスター・ワンゼルのシンセやキーボードが重なり、音作りはかなり緻密です。甘いだけではなく、少し都会的で洗練されたムードもある。そのため、スウィートソウルの中でも“軽すぎない曲”を探している人には特に向いています。
I Wanna Be With You
最後にもう一段、王道の厚みを感じたい人にはこれ。モータウンの強さがやさしく出ています。 モータウン黄金期を支えたプロデューサー、ウィリー・ハッチが手掛けたThe Miraclesの1972年作「I Wanna Be With You」は、オーセンティックなソウルの粋を集めた名曲。伸びやかなハイノート、やわらかくも力強いストリングス、そしてタイトに刻まれるリズムが自然に噛み合っています。メロウでソフト、それでいて甘すぎず、しっかり芯がある。こういう曲を入れることで、今回の特集が単なる“雰囲気のいい曲集”ではなく、ソウルの層の厚さまで感じられる並びになっています。
First Listen
まず流れで聴くなら
1曲ずつ探す前に、Sweet SoulやMellow Grooveの空気をまとめて掴みたい場合は、ミックス音源から入るのも自然です。甘さ、コーラス、低めのグルーヴ感がまとめて見えやすくなります。
Summary
まとめ:忘れられた名曲たちと、ソウルの深みを再発見する
今回の特集は、有名曲だけでは見えにくい70〜80年代ソウルの奥行きを拾うための一覧です。George Benson、Phoebe Snow、Leroy Hutson、The Delfonics、The Jones Girlsなど、それぞれの曲には甘さだけでなく、翳り、都会感、黒さ、コーラスの厚みがあります。気になった曲を1つ選び、そこから収録盤や同系統のアーティストへ広げていくと、Sweet Soulの魅力が際立ちます。
Related Topics
Mellow Grooveをさらに広げる関連ガイド
定番と前編、70年代ソウル全体、レア盤の流れへ進めます。
Related Flow
あわせて読みたい
この記事に興味のある人へ向けた近い記事をまとめます。













オススメ Rare Groove(レア・グルーヴ) 洋楽 名盤 特集 pt.1
オススメ スウィート・ソウル(Sweet Soul)・甘茶系ソウル 洋楽 名盤特集
Blue note(ブルーノート)産 ジャズファンク 洋楽・名盤特集
おすすめ70年代ソウルミュージック(soul music)洋楽・名盤特集 part.1