ジャズファンクという呼ばれ方が浸透するようになったのは、80年代、90年代以降のアシッドジャズ(acid jazz)やレアグルーブ(Rare groove)、ヒップホップ (hip hop) ムーブメントが起こった以降のことで、それまではジャズロックやフュージョン、クロスオーバージャズなどのような呼ばれ方をされていた。
60年代のjimmy smithなどのアーティストがブルーノートから出したgroovyなオルガンジャズがジャズファンクの起源となり、マイルス・デイヴィスが発表したビッチェズ・ブリューを筆頭に、ジャズと電子楽器、ロックを融合したエレクトリック・ジャズに急接近した1970年代前後から様々な実験的なジャズファンクが作られた。
イージーリスティング的な要素が強く、本物志向のJazzファンやFunkファンからは見向きもされないような音楽性であったが、セールス的にはブームとなり好調な時期もあった。昨今では見直しの評価が高く、当時のアナログレコードは高値で取引されている。
- Deodato|Also Sprach Zarathustra
- HERBIE HANCOCK|THRUST
- TONY WILLIAMS|JOY OF FLYING
- George Benson|Shape Of Things To Come
- Art Farmer|Crawl Space
- Donald Byrd|BLACK BYRD
- Jimmy Smith|Root Down
- Ramp|Come into knowledge
- STANLEY TURRENTINE / THE MAN WITH THE SAD FACE
- Bennie Maupin / Slow Traffic To The Right
- Grover Washington, Jr. / Skylarkin’
Deodato|Also Sprach Zarathustra
Deodato
Also Sprach Zarathustra
レーベル : cti
製作年:1973
評価 :
映画「2001年宇宙の旅 」でも使用されていることでも有名なリヒャルト・シュトラウス作のクラシック音楽を、ロックビートの効いたエレクトリック・ジャズファンクにアレンジした「Also sprach Zarathustra(ツァラトゥストラはかく語りき)」が収録されたアルバムで、クロスオーバーな楽曲を多く提供していたジャズレーベルCTIからの作品です。
90年代以降のブラックミュージック、HIPHOPやR&Bに影響を与えたサンプリングの宝庫で、PETE ROCK & CL.SMOOTH「IN THE HOUSE」ネタのジャズファンク「SEPTEMBER 13」やJ.DILLA、DILATED PEOPLEネタの「SPIRIT OF SUMMER」などのスムースでファンキーな楽曲が収録されています。
HERBIE HANCOCK|THRUST
HERBIE HANCOCK
THRUST
レーベル : COLUMBIA
製作年:1974
評価 :
コズミック・エレクトリック・ジャズファンクの名盤で、ジャズ鍵盤奏者ハービーハンコックによる作品です。Headhuntersの流れを汲む絶品Jazzfunkが収録されており、ブレインフィーダー(Brainfeeder)一派やロバート・グラスパー などの第一線で活躍する現代のブラックミュージックシーンの重鎮たちに多大な影響を与えています。
日本人Jazzシンガー笠井紀美子のバージョンでも有名なFender Rhodesの音色が美しいメローな「Butterfly」やドラムブレイクから幕開け、隙間の無い濃密なジャズファンク「Palm Grease」や「Spank-A-Lee」などといった曲が目白押しで、jazz,funk,fusion,hiphop,techno,houseといったようなジャンルを超え、広くミュージックラバーに愛されているジャズファンク名盤です。スペーシーなジャケットワークにも注目!!
TONY WILLIAMS|JOY OF FLYING
TONY WILLIAMS
JOY OF FLYING
レーベル : CBS
製作年:1974
評価 :
60年代にマイルス・デイヴィス・クインテットで活躍していたドラマーで日本人にも馴染みが深い渡辺貞夫や本田竹広の作品にも参加しています。当時の流行りであるイージーリスニング・フュージョン寄りのジャズファンク(jazzfunk)が収録されています。
跳ねるドラムにスペーシーなキーボードがマッチしたハービーハンコックとの「Hittin’On 6」や「Tony」、リズムを超えたJazzの頂きへと誘うCecil Taylorとの「MORGAN’S MOTION」など今聴いても新しい発見のある1979年ジャズファンク・フュージョン名盤です。
George Benson|Shape Of Things To Come
George Benson
Shape Of Things To Come
レーベル : Cti
製作年:1969
評価 :
Herbie HancockやHank Jones、Ron Carterなど日本人にも馴染みの深い面々も全面協力して作成されたgeorge bensonの作品です。
george bensonの神がかり的なメロディーラインが素晴らしい、PETE ROCK & C.L. SMOOTH「I GET PHYSICAL」ネタの至高のメロウ・ジャズファンク「FACE IT BOY, IT’S OVER」やDiamond & The Psychotic Neurotics(D.I.T.CのDiamond D)のFreestyleでも使用された「FOOTIN’ IT」も収録されており、90年代以降のブラックミュージックにも計り知れない影響を与えたサンプリングバイナルの金字塔として今でも愛されているジャズファンク、イージーリスニング・フュージョンミュージックの傑作です。
Art Farmer|Crawl Space
Art Farmer
Crawl Space
レーベル : Cti
製作年:1977
評価 :
トランペット奏者のArt Farmerの作品で、1977年にクロスオーバー・イージーリスニングジャズ・フュージョンを多く輩出していたCTIレコードから発表されました。
Dave GrusinやWill Lee、Steve Gadd、Eric GaleといったフュージョンJazzミュージシャンの重鎮が集結した傑作ジャズファンクの名盤です。
ファンキなベースラインにアートファーマーのブリリアントなプレイとジェレミー・スタイグの躍動感溢れるフルートが交差するジャズファンクナンバーでアルバムタイトル曲の「Crawl Space」やデイブ・グルーシンのオリジナルNo.で旋律が美しいMELLOWなムードのジャズファンクの傑作「Chanson」などが収録されています。
全体的にBPM90以下のMELLOWな楽曲が中心のアルバムで、サンプリングソースとしても人気な一枚です。CTIの面々の安定感ある演奏力で最後まで楽しめること間違い無しのJazzfunk(ジャズファンク)名盤です。
Donald Byrd|BLACK BYRD
Donald Byrd
BLACK BYRD
レーベル : Blue Note
製作年:1973
評価 :
1973年にDonald Byrdによって、Blue Note Recordsから発表されたベストセラージャズファンクアルバムです。
シンセベースとファンキーなワウギター、タイトでシンプルなドラムに効果的に配置されたトランペットの音色が最高にファンキーな傑作ジャズファンクでタイトルNo.の「Black Byrd」やMELLOWジャズファンクの太鼓判「Shop Jar Blues」、ピアノの旋律と絡むトランペットの音色がMELLOW&SUNSETな「Where are we going?」など期待を裏切らない抜群のクオリティで全曲捨て曲無しで、最後まで飽きさせません。90年以降のブラックミュージックにも影響を与えた決定版で、今でもレコードは高音で取引される人気盤。
Jimmy Smith|Root Down
Jimmy Smith
Root Down
レーベル : verve
製作年:1972
評価 :
オルガンジャズファンクの傑作で、1972年に発表されたJimmy Smith(ジミースミス)のlive音源です。
ファンキーなベースラインとタイトなドラム、ワウを効かせたエレクトリックなギターにジミースミスのオルガンが最高にグルーヴィーなタイトル曲のジャズファンク「Root Down」やAl Greenの名曲をカバーしたmellowなソウルNo.「Lets Stay Together 」などを収録。
ヒップホップアーティストにも多数サンプリングされている人気盤で、時代を超える熱気とクリエイティブに富んだ一枚。
Ramp|Come into knowledge
Ramp
Come into knowledge
レーベル : ABC
製作年:1977
評価 :
ヴィブラフォン奏者のロイ・エアーズによるramp(roy ayers music production)名義での作品で、mellowなJazz Funkが多数収録されており、アシッドジャズやレア・グルーヴ、ヒップホップに関わる人々に再評価され、多くのブラックミュージックを起源とするアーティストの楽曲にサンプリングされている。全体的にBPM090前後のmellowな楽曲が多く、rare grooveの経典として今でも名高いJazz funkの名盤だ。
HIPHOPを中心としたブラックミュージックのサンプリングソースとしても有名で、特にA.T.C.Q.”Bonita Applebum”ネタ「Daylight」や原曲以上にmellowで瞑想的な仕上がりとなっている「Everybody Loves The Sunshine」、多数のMIXに収録されているタイトル曲のmellowなジャズファンク「Come into knowledge」などの曲が収録されている大推薦版だ。
STANLEY TURRENTINE / THE MAN WITH THE SAD FACE
STANLEY TURRENTINE
THE MAN WITH THE SAD FACE
レーベル : fantasy
製作年:1976
評価 :
jazz funk(ジャズファンク)・フュージョン色が濃い内容で、ドラムブレイクネタとしても素晴らしく、メロディアスなテナー・サックスが響きわたる良質な内容。
今でもブラックミュージックを中心とするアーティストのサンプリングソースとしても人気な一枚だ。市場ではあまり見かけない盤ではあるが、もし手にすることができたら是非ターンテーブルに針を落として聴いてみてほしい。
Bennie Maupin / Slow Traffic To The Right
Bennie Maupin
Slow Traffic To The Right
レーベル : Mercury
製作年:1977
評価 :
1977年に発表されたジャズ・テナー・サックス、フルート奏者であるbennie maupinによる作品で、bouncyなドラムとベースから奇跡的なメロディが融合する展開も素晴らしい「You Know The Deal」は、ヒップホップ好きなら完全に涎ものの、今では音源が数万円単位で取引されているDa Grass Rootsの「Price of livin」のサンプリングネタが収録されているclassicなレアグルーブを代表する一曲である。他にも「It Remains To Be Seen」はファンキーなグルーブにcosmic&mellowな展開がグッドなジャズファンクも収録されているなど、前編に渡りクロスオーバー・ジャズやフュージョン、ジャズファンクの影響を感じさせるCTI直系の音源だ。
Grover Washington, Jr. / Skylarkin’
Bennie Maupin
Slow Traffic To The Right
レーベル : Mercury
製作年:1977
評価 :
80年代初旬に発売されたクロスオーバーやフュージョン、ジャズファンクの流れを汲む作品で、サックス奏者GROVER WASHINGTON,JrによってMOTOWNから発表された作品です。CTI時代からのサイドメンであるIDRIS MUHAMMAD、RICHARD TEE、RALPH MACDONALDやMARCUS MILLERが参加した都会的でシティ・ポップ的な内容になっています。
数々のサンプリングソースとしても使用されているグルーヴィーでスムースなMichael Jacksonのカバー「I Can’t Help It」やマーカス・ミラーのチョッパー・ベースが都会的な高揚感を演出する「Open Your Mind」などグローバー・ワシントン・ジュニアが持つメロディアスなサックスを前編に渡り楽しむことができる一枚です。山下達郎を代表する日本のシティ・ポップが好きな方もど真ん中の作品です!
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