アフリカを起源とするアメリカの黒人を発祥とするブラックミュージックは、ジャズやファンク、ソウル、ゴスペル、ブルースといった音楽性を想像し、音楽の根底に深い影響を与えた。その影響は全世界のスタンダードとして認識され、過去から現在に至るまで今でも楽曲の根底にその影響が存在するほど魅力的なgrooveとリズムに満ち溢れている。アメリカ国内に止まらず、そうした影響を受けた音楽は世界各国で造られ、音楽の求道者たちはヒットチャートには見向きもせず、根底にあるgrooveを追い求めて流行り廃りの関係のない音楽を作り上げた。
今でも一般的にはあまり知られていない未知なるgrooveも数多く存在し、そうした音楽性を総称し「Rare Groove」と呼ばれている。ブラックミュージックを中心とした音楽では、度々そうした楽曲はサンプリングソースとして用いられ、実験的で且つ普遍的な音楽が今でも多く生み出されている。今回はそうしたレア・グルーヴの魅力に迫るいくつかの楽曲を紹介してみたいと思います。どなたかの新しい発見になれば幸いです。
MontyAlexander featuring Ernest ranglin / Rass!
MontyAlexander
Rass!
レーベル : MPS
評価 :
1974年に発売されたモンティ・アレキサンダーの作品で、名ギタリストのErnest Ranglenをフューチャーしている。特にLargerProfesserの「Ijuswannachill」でもサンプリングされた「Love and Happiness」は、アーネスト・ラングレンのギターとモンティ・アレキサンダーのメロディラインが素晴らしく、beatnutsを始め、様々なアーティストからサンプリングされている音源。他にもエレピが心地よいスムースなAl Greenのカバー名曲「Let’s Stay Together」やチルな昼下がりがぴったりな「Yellow Bird」など、前編通してモンティ・アレキサンダーのエレピが気持ちいいジャズファンクに仕上がっています。非常に豊かなリズムとメロディが共生する稀に見る完成度を誇る名盤で、ブラックミュージックを語る上で欠かすことができないマスターピースの一つです。ソウルフルなジャズファンクで未知ならrare groove(レア・グルーヴ)をお探しの方は是非!
STEFANO TOROSSI / FEELINGS
STEFANO TOROSSI
FEELINGS
レーベル : Golden Pavilion
評価 :
イタリアの名コンポーザーのSTEFANO TOROSSI の作品で
今でもアナログ版は高値で取引される人気版である。
「feeling tense」はスローでタイトなドラムから始まるmellowなジャズファンク、
グルーヴィーで稀に見る完成度をもつ楽曲が揃い踏み
非常に豊かなフィーリングで、リズムとメロディの陶酔へ誘われる
papa was a rolling stoneのようなサイケデリックなインストメンタルの影響も
随所に感じることができる。
ジャンルを跨ぎ、様々なミュージシャンやリスナーに影響を与えているレア・グルーヴ名盤です。
O’Donel Levy / Breeding of Mind
O’Donel Levy
Breeding of Mind
レーベル : Groove Merchant
評価 :
ジョージ・ベンソンやジミー・マクグリフ、リチャード・グルーヴ・ホルムズらのジャズファンクの大御所と共演し
卓越したスキルでジャンルの垣根を越え愛されたギタリストのO’Donel Levyの2ndアルバムで
神がかり的なカーペンターズの名曲「We’ve Only Just Began」のカバーが収録された名盤である。
We’ve Only Just Beganのカバーは世界中にゴマンとあるだろうが、ここまでファンキーでソウルフルなカバーはそう無いのでないだろうか。Wes Montgomery、ジョージベンソン直系のメロディアスでグルーヴィ、ソウルフルな楽曲に仕上がっている。
レア・グルーヴとしても有名で、ソウル、ファンク、ジャズなどのブラックミュージックが好きな方にお薦めだ。
bossa nova調のリズムとギターの音色が相性抜群のタイトル曲「Breeding of Mind」
Issac Hayesの名曲のカバー「Never Can Say Goodbye」
AL Greenの大名曲「Let’s Stay Together 」などブラックミュージックのカバー曲が目白押しで
Rare Groove系のMIXCDに収録されているスムースでメロディアスな曲が満載の演奏力が高く、聞き応えのある名盤だ。
デヴィッド・Tウォーカー / On Love
デヴィッド・Tウォーカー
On Love
レーベル : ode
評価 :
ソウルやジャズなどの音楽性を特徴として
マイケルジャクソンやボビー・ウーマック、スティービー・ワンダー、クインシージョーンズなど数々のレジェンドたちのサイドメンを務めた名ギタリストで、一時期はジャズ畑のグルーヴィーなシンガー「マリーナ・ショウ」のツアーなどにも同行した経歴をもつ。モータウンとのつながりも強く、黄金期を支える大きな原動力となった。
このアルバムは1976年に発表されたアルバムで、数々のブラックミュージックのサンプリングソースとして使用されている名曲が数々収録されている。タイトル曲の「On Love」は、零れ落ちる甘くシルキーなギターの音色が美しく、「windows of the world」はメロディラインが素晴らしい、スムースなミディアムナンバーに仕上げっている。美しいメロディラインの「Lovin You」を軽々と自分の名曲のように弾き語る様は、本当にギターの神から愛されているのだろう。
アールクルーやジョージベンソン、ウェス・モンゴメリーといったギタリストが好きなら是非一聴していただきたい。グルーヴィーなギターのサンプリングソースはデヴィッド・Tウォーカーに任せておいて間違いないだろう。今ではレア・グルーヴ的な盤として人気を博しており、ブラックミュージック史に刻まれているデヴィッド・Tウォーカーの名演を一度聞いてみてはいかがだろうか。
Satin Doll / Bobbi Humphrey
Satin Doll
Bobbi Humphrey
レーベル : blue note
評価 :
Bobbi humphreyは今でもヒップホップやソウル、R&Bを中心としたブラックミュージックのミュージシャンから絶大な人気を誇る女性フルート奏者で、サンプリングソースやrare grooveとの商品いった音楽のお手本のような作品です。ファンキーでメロディアス、未来永劫輝き続け、聴き続けられていくだろう作品は少ないと思わされるほど素晴らしい内容に仕上がっている。
「New York Times」はイントロから完璧なBobbi Humphrey本人のフルートが疾走感を掻き立てるメロディアスなファンクナンバーで、stevie wonderのナンバーをカバーした「You are my sunshine of my life」、ムーディーな雰囲気が最高にお洒落なスムースでソウルフルな「Rain Again」などジャズファンクやフュージョン、クロスオーバージャズ、ファンク、ソウルなど様々な音楽要素が詰まった聴きどころ満載な内容に仕上がっているレアグルーブの秀作です。
Astral Signal / Gene harris (ジーン・ハリス)
Astral Signal
Gene harris (ジーン・ハリス)
レーベル : blue note
評価 :
1974年にblue noteから発表されたジャズ・ピアニストのgene harrisの作品で、浮遊感溢れるイントロからファンキーな「Losalamitoslatinfunklovesong」はrare grooveとしても人気な一曲です。非常に濃厚な中毒性のあるメロディアスなグルーブが病みつきナンバーで、今までに様々なMIXCDに収録されています。ジャズファンクやフュージョンといった音楽性を持ちながらも、知識と正確性で鍵盤上を自由に行き交い、本人のピアノプレイを存分に堪能できるブルージでgroovyな「MY Roots」など彼が持つソウル・ジャズの真髄を心ゆくまで楽しむことができます。確かな技術に裏打ちされたメロディとリズムに溢れたRare Groove(レア・グルーヴ)名盤です。
Bobbi Humphrey / Fancy Dancer
Fancy Dancer
Bobbi Humphrey
レーベル : blue note
評価 :
1975年に制作された女性フルート奏者のBobbi Humphreyの作品で、非常に完成度が高く洗練された作品です。Donald Byrdの「Black Byrd」に匹敵するほどの完成度で、ブルーノートに残されているジャズファンク作品の中でも人気のある一枚です。特に「Please Set Me At Ease」はヒップホップアーティストのMadlibによるアルバム「shades of blue – ブルーノート帝国への侵入」の中でもサンプリングされ、再注目を浴びた人気曲で、シンプルだが記憶に残るフレーズと自然体で力まないリズムが最高に心地よく、イメージを掻き立てるmellowなスピリチュアルジャズナンバーだ。タイトル曲の「Fancy Dancer」もクインシージョーンズ直系のブラックネス溢れるブルージーなナンバーに仕上がっている。morning sunriseを彷彿とさせるご機嫌でチルアウトな「Sweet Than Suger」もオススメだ。さすがブルーノート産ということもあって前編通して洗練された音色で、聴覚芸術的作品であり、レア・グルーヴ名盤としても有名な一枚です。
9th Creation / Bubble Gum
9th Creation
Bubble Gum
レーベル : Rite Track
評価 :
黒く粘っこいファンクネスとmellowさが融合した稀に見る完成度の高い作品。
タイトル曲の「Bubble Gum」はヒップホップアーティストのArtifactsを代表するサンプリングネタとしても有名なイントロが印象的なジャズファンクで、モータウン直系のミディアムmellowでメロディアスな展開が素敵な「Sexy Girl」、ディレイなフルートとタイトなドラムに、スモーキー&mellowなメロディー・ラインが病みつきな「Rule of Mind」など前編を通して濃厚なジャズファンクを堪能することができます。ヒップホップを中心とするブラックミュージックのルーツ的一枚であり、レア・グルーヴとしても有名な作品です。
コメント