アフリカを起源とするアメリカの黒人を発祥とするブラックミュージックは、ジャズやファンク、ソウル、ゴスペル、ブルースといった音楽性を創造し、音楽の根底に深い影響を与えた。その影響は全世界のスタンダードとして認識され、過去から現在に至るまで今でも楽曲の根底にその影響が存在するほど魅力的なgrooveとリズムに満ち溢れている。アメリカ国内に止まらず、そうした影響を受けた音楽は世界各国で造られ、音楽の求道者たちはヒットチャートには見向きもせず、根底にあるgrooveを追い求めて流行り廃りの関係のない音楽を作り上げた。
今でも一般的にはあまり知られていない未知なるgrooveも数多く存在し、そうした音楽性を総称し「Rare Groove」と呼ばれている。ブラックミュージックを中心とした音楽では、度々そうした楽曲はサンプリングソースとして用いられ、実験的で且つ普遍的な音楽が今でも多く生み出されている。今回はそうしたレア・グルーヴの魅力に迫るいくつかの楽曲を紹介してみたいと思います。どなたかの新しい発見になれば幸いです。
- The blackbyrds / The blackbyrds
- Kellee patterson / maiden voyage
- Astral Signal / Gene harris (ジーン・ハリス)
- Bobbi Humphrey / Fancy Dancer
- Gil Scott- Heron / Pieces of a Man
- Roy Ayers Ubiquity / He’s Coming
- 24 carat Black / Ghetto:Misfortune’s Wealth
- Harlem river drive / Harlem river drive
- Weldon Irvine / Sinbad
- ARTHUR VEROCAI / ARTHUR VEROCAI
- ARTHUR VEROCAI / encore
- Sylvia Striplin / Give me your love
- The Friends of Distinction / Grazin
- MontyAlexander featuring Ernest ranglin / Rass!
- STEFANO TOROSSI / FEELINGS
- O’Donel Levy / Breeding of Mind
- デヴィッド・Tウォーカー / On Love
The blackbyrds / The blackbyrds
The blackbyrds
ブラック・バード
レーベル : fantasy
評価 :
トランペッターのドナルド・バードを中心に結成されたフュージョン、ジャズファンクバンドのブラック・バートが1974年に発表したファースト・アルバムだ。さすがブルー・ノートで活躍しているdonald byrdだけあって、非常にグルーヴィでファンクネスを纏う楽曲が満載で、現代でも根強い人気を誇る一枚です。奇跡的なmellowさを持つイントロが印象的な「summer love」、粘っこいファンクネスが癖になる「Do it fruid」、メロディアスなmediumメローファンクナンバーの「reggins」など、全体を通して演奏力が高く、70年代のフィーリングを堪能することができる、今ではrare groove名盤として有名な一枚です。
【商品紹介】
Kellee patterson / maiden voyage
Kellee patterson
maiden voyage
レーベル : Black Jazz
評価 :
Maiden Voyageは、1973年に発売されたアメリカのジャズシンガー、ケリー・パターソンのデビューアルバムです。このアルバムは、パターソンの声域と多才さ、そしてジャズとソウルの要素をシームレスに融合させた音楽性を見事に表現しています。「Magic Wand of Love」は、mellow grooveを持つソウルフルな楽曲で、レア・グルーブとしても名高い一曲。「soul daddy」のようなキャッチーなファンクネスを持つ楽曲も豊富に収録されている。ハービー・ハンコックの名曲をジャズファンクにアレンジしたアルバムタイトル曲の「Maiden Voyage」など、全体として「Maiden Voyage」は、Kellee Pattersonのボーカリストとしての素晴らしい才能と幅を示す素晴らしい70年代ジャズファンクの傑作であり、raregrooveの一枚として大推薦版だ。
【商品紹介】
Astral Signal / Gene harris (ジーン・ハリス)
Astral Signal
Gene harris (ジーン・ハリス)
レーベル : blue note
評価 :
1974年にblue noteから発表されたジャズ・ピアニストのgene harrisの作品で、浮遊感溢れるイントロからファンキーな「Losalamitoslatinfunklovesong」はrare grooveとしても人気な一曲です。非常に濃厚な中毒性のあるメロディアスなグルーブが病みつきナンバーで、今までに様々なMIXCDに収録されています。ジャズファンクやフュージョンといった音楽性を持ちながらも、知識と正確性で鍵盤上を自由に行き交い、本人のピアノプレイを存分に堪能できるブルージでgroovyな「MY Roots」など彼が持つソウル・ジャズの真髄を心ゆくまで楽しむことができます。確かな技術に裏打ちされたメロディとリズムに溢れたRare Groove(レア・グルーヴ)名盤です。
【商品紹介】
Bobbi Humphrey / Fancy Dancer
Fancy Dancer
Bobbi Humphrey
レーベル : blue note
評価 :
1975年に制作された女性フルート奏者のBobbi Humphreyの作品で、非常に完成度が高く洗練された作品です。Donald Byrdの「Black Byrd」に匹敵するほどの完成度で、ブルーノートに残されているジャズファンク作品の中でも人気のある一枚で、rare grooveとしても認知されている名盤です。特に「Please Set Me At Ease」はヒップホップアーティストのMadlibによるアルバム「shades of blue – ブルーノート帝国への侵入」の中でもサンプリングされ、再注目を浴びた人気曲で、シンプルだが記憶に残るフレーズと自然体で力まないリズムが最高に心地よく、イメージを掻き立てるmellowなスピリチュアルジャズナンバーだ。タイトル曲の「Fancy Dancer」もクインシージョーンズ直系のブラックネス溢れるブルージーなナンバーに仕上がっている。morning sunriseを彷彿とさせるご機嫌でチルアウトな「Sweet Than Suger」もオススメだ。さすがブルーノート産ということもあって前編通して洗練された音色で、聴覚芸術的作品であり、レア・グルーヴ名盤としても有名な一枚です。
【商品紹介】
Gil Scott- Heron / Pieces of a Man
Gil Scott- Heron
Pieces of a Man
レーベル : Flying Duntchman
評価 :
詩人であるギル・スコット・ヘロンがフライング・ダッチマンレコードから1971年に発表した作品で、全体的に非常にグルーヴィで濃厚なファンクネスを感じることができる作品です。
モータウンライクでフルートの音色がピースフルな「Save the Children」、重厚で黒いファンクネスとポエトリー・リーディングが前衛的なラップの原型を思わせる「The Revolution will not Be Televised」、数多のミックスやレア・グルーブで取り沙汰されるほどメロディアスでグルーヴィなファンキーチューン「Home is where the hatred Is」など、すでに70年代前半に於いて、現代でも最高峰のファンクネスを作り出してしまっているセンスには敬意を払うしかないでしょう。そう思わせるに足るレア・グルーブ、70年代ファンク名盤の一枚です。全てのミュージックラバーにお薦めします。
【商品紹介】
Roy Ayers Ubiquity / He’s Coming
Roy Ayers Ubiquity
He’s Coming
レーベル : Polydor
評価 :
1972年に発表された作品で、70年代のジャズファンクやレア・グルーブ、サンプリング、ブラックミュージックを語る上で欠かすことの出来ないブラックミュージック名盤中の名盤で、ジャケットのデザインも含めて現代の音楽に多大な影響を与えた。「Ain’t got time」は90年代のPete Rock and CL Smoothの作品でも使用された、エレピの音色が穏やかなソウルフル・ジャズファンクに仕上がっている。「We live in brookyn, Baby」のような今でも通用する黒々しいジャズファンクは、ロバートグラスパーを中心とする現代の間でも、時折演奏されるバイブル的なナンバーだ。全体的にメローでソウルフルなトラックにロイ・エアーズのビブラフィンが絡むメロディアスな展開が特徴だ。70年代至高のrare groove名盤の一枚としてオススメだ。
【商品紹介】
24 carat Black / Ghetto:Misfortune’s Wealth
24 carat Black
24 carat Black / Ghetto:Misfortune’s Wealth
レーベル : Enterprise
評価 :
レアグルーブといえば、必ず名前が上がってくるほど有名な一枚で、
「Synopsis one: In the ghetto / God Save the world」や「Mother’s Day 」はNasの2nd 名盤の「Nas is coming」でサンプリングソースとして使用された一曲。独特のドラムラインからレゲエの雰囲気を纏わせるエレピベースのゆるく陽気なファンク「Foodstamp」、24カラット・ブラックといえば、この曲と言われるほど代名詞的なトラックとして有名なタイトなジャズファンク「Ghetto:Misfortune‘s Wealth」など、1970年代当時のゲットーで陰鬱な雰囲気を真空パックしたかのような、黒くソウルフルな曲調が続く。現代のブラックミュージックの根源にある音楽といったも過言ではないブラックパワーに溢れたレアグルーブ名盤の一枚です。
【商品紹介】
Harlem river drive / Harlem river drive
Harlem river drive
Harlem river drive
レーベル : roulette
評価 :
ハーレム・リバー・ドライブによる1971年に発表された作品で、レアグルーブ的な観点から近年再評価がされているアーティストの一つである。ドラムはBernard Purdie(バーナード・パーディ)、ギターはCornell Dupree(コーネル・デュプリー)、Randy Brecker(ランディ・ブレッカー)がファンキーなトランペットで参加している。
カーティス・メイフィールドやギル・スコット・ヘロンといったアーティストに近いグルーブを持ち、ソウルフルでファンキー、オーガニックな曲調を持つ楽曲が多数収録されている。ワウが効いたギターのイントロが中毒性をもち、ラテン調のノリと適所を抑えたホーンのリフが最高にファンキーな「Idle Hands」、タイトでシンプルな展開にオルガンの音色が効果的なファンクナンバーでタイトル曲の「Harlem river drive」など70年代当時の持つバイブスを体現するファンクバンドの一つです。レアグルーブ名盤の一つとしてオススメです。
【商品紹介】
Weldon Irvine / Sinbad
Weldon Irvine
Sinbad
レーベル : RCA
評価 :
アルバム「Sinbad」は、Weldon Irvineによって1976年に発表された作品で、特にレア・グルーブ(rare groove)クラシックとしても有名な「I LOVE YOU」は、日本人アーティストのイハラカンタロウによってもカバーされ、メロディアスでソウルフルなジャズファンクに仕上がっている。さらにお薦めなのがmarvin gayeの「whats doing on」のカバーで、エレピのサウンドが心地よいナイスなカバー作品に仕上がっている。「music is the key」などのエレピが心地よい怪しいスピリチュアルなメローナンバーやWeldon Irvine本人のピアノソロを堪能できる「Here’s Where I Came In」を含む非常に濃密な内容で、今ではアナログ版が高値で取引されるほど、近年再評価の見直しが高く人気の作品だ。初めてWeldon Irvineの音楽を聴く一枚としてもオススメしたい。
【商品紹介】
ARTHUR VEROCAI / ARTHUR VEROCAI
ARTHUR VEROCAI
ARTHUR VEROCAI
レーベル : Continental
評価 :
ブラジルが誇る作曲家、アレンジャーのアルトゥール・ヴェロカイによる1972年に発表されたファーストアルバムで、全世界に計り知れない影響を与えた1枚。90年代以降のブラックミュージックムーブメントから再発掘され、今では伝説的なレアグルーブとして認知されている。
ボサノバをベースにロック、ジャズ、ファンク、ソウルといった音楽性に加えてクロスオーバージャズが持つ実験的な側面を持つ。洗練された唯一無二のブラジル産レアグルーブの名盤の1枚だ。
【商品紹介】
ARTHUR VEROCAI / encore
ARTHUR VEROCAI
encore
レーベル : Far Out
評価 :
ブラジルの作曲家、アレンジャーのアルトゥール・ヴェロカイによる2007年の作品で、問答無用の極上のグルーブが詰まった奇跡的な仕上がりで、クロスオーバージャズ、フュージョンといったリズム感を持ちながらボサノバをベースとしたオリジナリティ溢れるサウンドは今でも影響感を持つ一枚。「bis」のような重厚なグルーブは、2000年代以降のファンクの中でも最高の出来栄えだ。今ではレアグルーブとして認知され人気を集めている。ブラジル産の洗練されたグルーブの最高峰で、2000年代以降のジャズファンク、レアグルーブの名盤です。
【商品紹介】
Sylvia Striplin / Give me your love
Sylvia Striplin
Give me your love
レーベル : Uno Melodic
評価 :
ブラックミュージックシーンに残る名曲が収録されている名盤。ディスコのようなダンスミュージックを中心に、スムースでグルーヴィな楽曲が多数収録されたレアグルーブの名盤だ。飽きのこない伸びやかでソフトな歌声が特徴的で、ヴィブラフォン奏者として人気のロイ・エアーズがプロデュースした作品の中でも最高傑作との呼び名も高い作品。「you can’t touch me away」はメロディアスでグルーヴィなレアグルーブ・ソウルクラシックとしても有名だ。
【商品紹介】
The Friends of Distinction / Grazin
The Friends of Distinction
Grazin
レーベル : RCA
評価 :
1969年に発表された作品で、The Friends of Distinctionのデビューアルバムです。アルバムオープニングの「”Grazing in the Grass」はbillboard hot100で最高位3位を記録していた曲で、ブランズウィック・レコードのサウンドを彷彿とさせる軽快で緻密なダンスNo.に仕上がっている。
ほかにも「sweet young thing like you」を中心とする、キラリと光るフレーズやブルージーなナンバーのオンパレードで、知る人ぞ知る好レアグルーブ名盤の一枚だ。50年以上経つ今でもスタンダードなオススメ盤です♪
【商品紹介】
MontyAlexander featuring Ernest ranglin / Rass!
MontyAlexander
Rass!
レーベル : MPS
評価 :
1974年に発売されたモンティ・アレキサンダーの作品で、名ギタリストのErnest Ranglenをフューチャーしている。特にLargerProfesserの「Ijuswannachill」でもサンプリングされた「Love and Happiness」は、アーネスト・ラングレンのギターとモンティ・アレキサンダーのメロディラインが素晴らしく、beatnutsを始め、様々なアーティストからサンプリングされている音源。他にもエレピが心地よいスムースなAl Greenのカバー名曲「Let’s Stay Together」やチルな昼下がりがぴったりな「Yellow Bird」など、前編通してモンティ・アレキサンダーのエレピが気持ちいいジャズファンクに仕上がっています。非常に豊かなリズムとメロディが共生する稀に見る完成度を誇る名盤で、ブラックミュージックを語る上で欠かすことができないマスターピースの一つです。ソウルフルなrare groove(レア・グルーヴ)をお探しの方は是非!
【商品紹介】
STEFANO TOROSSI / FEELINGS
STEFANO TOROSSI
FEELINGS
レーベル : Golden Pavilion
評価 :
イタリアの名コンポーザーのSTEFANO TOROSSI の作品で、今でもアナログ版は高値で取引されるrare groove人気盤である。「feeling tense」はスローでタイトなドラムから始まるmellowなジャズファンク、グルーヴィーで稀に見る完成度をもつ楽曲が揃い踏み、非常に豊かなフィーリングで、リズムとメロディの陶酔へ誘われる。papa was a rolling stoneのようなサイケデリックなインストメンタルの影響も随所に感じることができる。ジャンルを跨ぎ、様々なミュージシャンやリスナーに影響を与えているレア・グルーヴ名盤です。
【商品紹介】
O’Donel Levy / Breeding of Mind
O’Donel Levy
Breeding of Mind
レーベル : Groove Merchant
評価 :
ジョージ・ベンソンやジミー・マクグリフ、リチャード・グルーヴ・ホルムズらのジャズファンクの大御所と共演し、卓越したスキルでジャンルの垣根を越え愛されたギタリストのO’Donel Levyの2ndアルバムで、神がかり的なカーペンターズの名曲「We’ve Only Just Began」のカバーが収録された名盤である。We’ve Only Just Beganのカバーは世界中にゴマンとあるだろうが、ここまでファンキーでソウルフルなカバーはそう無いのでないだろうか。Wes Montgomery、ジョージベンソン直系のメロディアスでグルーヴィ、ソウルフルな楽曲に仕上がっている。レア・グルーヴとしても有名で、ソウル、ファンク、ジャズなどのブラックミュージックが好きな方にお薦めだ。bossa nova調のリズムとギターの音色が相性抜群のタイトル曲「Breeding of Mind」、Issac Hayesの名曲のカバー「Never Can Say Goodbye」、ソウルミュージック界の大御所のAL Greenの大名曲「Let’s Stay Together 」などブラックミュージックのカバー曲が目白押しで、Rare Groove系のMIXCDに収録されているスムースでメロディアスな曲が満載の演奏力が高く、聞き応えのあるrare groove名盤だ。
【商品紹介】
デヴィッド・Tウォーカー / On Love
デヴィッド・Tウォーカー
On Love
レーベル : ode
評価 :
ソウルやジャズなどの音楽性を特徴として、マイケルジャクソンやボビー・ウーマック、スティービー・ワンダー、クインシージョーンズなど数々のレジェンドたちのサイドメンを務めた名ギタリストで、一時期はジャズ畑のグルーヴィーなシンガー「マリーナ・ショウ」のツアーなどにも同行した経歴をもつ。モータウンとのつながりも強く、黄金期を支える大きな原動力となった。今ではrare groove的な視点からも人気を博している一枚。このアルバムは1976年に発表されたアルバムで、数々のブラックミュージックのサンプリングソースとして使用されている名曲が数々収録されている。タイトル曲の「On Love」は、零れ落ちる甘くシルキーなギターの音色が美しく、「windows of the world」はメロディラインが素晴らしい、スムースなミディアムナンバーに仕上げっている。美しいメロディラインの「Lovin You」を軽々と自分の名曲のように弾き語る様は、本当にギターの神から愛されているのだろう。アールクルーやジョージベンソン、ウェス・モンゴメリーといったギタリストが好きなら是非一聴していただきたい。グルーヴィーなギターのサンプリングソースはデヴィッド・Tウォーカーに任せておいて間違いないだろう。今ではレア・グルーヴ的な盤として人気を博しており、ブラックミュージック史に刻まれているデヴィッド・Tウォーカーの名演を一度聞いてみてはいかがだろうか。
【商品紹介】
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