フュージョン(fusion)は、Jazzから派生したジャンルで、ファンクやロック、ソウル、ラテン音楽、クラシックなどの音楽性を融合した実験的な音楽性を持ち、複雑なリズムというよりかは、ノリやすい8ビートを主体としたリズムとJazzが持つ音楽性を融合した大衆向けであり、模索する実験的な音楽性(クロスオーバー・ジャズ)を有している。70年代に一世を風靡したBoB JamesやDave Gruisinなどのプロデューサー・鍵盤奏者を筆頭に、技巧派のプレイヤーが揃う都会的でお洒落な音楽性は、テレビやコマーシャル、ラジオでも頻繁に使用され、今でも耳に残るフレーズはフュージョン音楽に数多く残されている。80年代のディスコブームと90年代前後のブラックミュージックの本格的な到来により勢いを失ったが、今でも多くの恩恵を受け、流行り廃りに関係のない優良な音楽の礎となっている。今回はそうしたフュージョン音楽を、管理人の視点からいくつかセレクトしてみたいと思います。どなた方の新しい発見になれば幸いです。
dave grusin / Mountain Dance
dave grusin
Mountain Dance
レーベル : JVC
評価 :
bob jamesに匹敵するアレンジャーであり鍵盤奏者であるデイブ・グルーシンの作品です。フュージョン・サウンドの決定版的作品であり、後世の音楽に多くの影響を与えた名盤です。特に「Either Way」は、今は亡きNotorious B.I.GのEveryday Struggleでもサンプリング使用された曲で、mellowなイントロが美しい名曲です。また「Friend and Strangers」はSEEDA (シーダ) – Mic Story feat. ILL-BOSSTINOでも使用された日本語ラップ・クラシックの元ネタです。他にもDave Gruisinのセンチメンタルなピアノの音色が溢れ落ちるソロ曲「ThankSong」など高度なテクニックと豊かなリズムが凝縮された聞き応えバッチリな内容です。初めてのフュージョン(fusion)の一枚としてもお薦めです。
stuff / stuff
stuff
stuff
レーベル : warner
評価 :
1976年に発表されたstuffのファーストアルバムで、ゴードン・エドワーズ、コーネル・デュプリー、エリック・ゲイル(eric gale)、スティーブ・ガッド(steve gadd)、リチャード・ティー(rechard tee)、クリストファー・パーカーといったミュージシャンを中心に構成され、ザ・クルセイダースと同様にフュージョン・ジャズを代表するグループの一つである。卓越した技巧とファンクやソウルといった音楽性を融合した音楽性は70年代フュージョンシーンを席巻した。
ミディアムスローでメロディアスな「Sun Song」やエレピの音色が心地良い軽快なナンバーの「My Sweetness」など前編を通してファンキーなリズムに溢れた楽曲が多く、活力ある力強くも繊細なメロディーは、時代を超え聞き継がれていくだろうフュージョン作品です。
Bob James / BJ4
Bob James
BJ4
レーベル : CTI
評価 :
1977年に発表された作品で、CTIの面々が参加した豊かなクロスオーバー・ジャズを堪能できるフュージョン作品で、クインシー・ジョーンズばりの精鋭なるミュージシャンを従え制作されたアレンジャーであり鍵盤奏者のBob Jamesの作品です。
スタッフのエリック・ゲイルやスティーブ・ガッド、アートファーマー、ヒューバート・ローズなどCTIオールスター的な強力JAZZMANが完全援護しています。
「Tappan Zee」は日本語ラッパーのレジェンドであるZEEBRAのParteechecka (Bright Light mix)でサンプリングされた名曲で、「El Verano」はヒップホップアーティストのMasterAceを中心としたアーティストにもサンプリングされた、美しいイントロが印象的なジャズ・フュージョンです。陰鬱なイントロが病みつきな「Treasure Island」など前編を通してサンプリングソース的な観点からも楽しむことができ、ブラックミュージック好きには避けては通れないフュージョン名盤です。
Earl Klugh / Living in side your love
Earl Klugh
Living in side your love
レーベル : blue note
評価 :
ジョージ・ベンソン(george benson)を師に持ち、美しいメロディが印象的なフュージョン界を代表するアコースティック・ギターの名手であるアール・クルーが、1976年にブルーノート(blue note records)より発表した作品である。
収録されている中でも特にタイトル曲の「Living in side your love」は、イントロ部分は様々なアーティストに影響を与えたサンプリングソースで、プロデューサーであり鍵盤奏者のデイブ・グルーシンのアレンジが光るmellowな名曲です。
コードよりはピアノのように短音でのメロディラインを作るのが得意で、まるでピアノ演奏を聞いてくるかのようなセンチメンタルなフレーズも随所で感じることができます。フュージョン界のギタリストとしては外せない人物で、流麗な美しいアコースティックの音色とストリングスを含むアレンジの相性が素晴らしい名盤フュージョン作品です。wes mongomeryやgeorge bensonのようなギタリストが好きなら是非聞いてみてください!
Grover washington Jr / WINELIGHT
Grover washington Jr
WINELIGHT
レーベル : electra
評価 :
1980 年にグローバー・ワシントン・ジュニアによって発表されたフュージョン作品で、流麗なサックスの音色が前編に渡り堪能することができる作品だ。収録曲の「Just the Two of Us」はビル・ウィザーズ(bill withers)がボーカルに参加しており、様々なアーティストに影響を与えた名曲です。特にイントロ部分の印象的なメロディラインは、サンプリングソースとして使用された作品は数多く存在しています。
他にも「Let It Flow」のような軽快なリズムにmellowなメロディが非常に都会的な雰囲気を醸し出している。「Take Me There」もムーディでリラックスしたメロディラインが◎。
今聴いても非常にグルーヴィでメロディアスな素晴らしいフュージン作品です。完成度が高く、これからも聴き継がれていくだろう名盤です。
The Crasaders / Street Life
The Crasaders
Street Life
レーベル : electra
評価 :
Wilton Felder、 Wayne Henderson 、Joe Sample、 Stix Hooper、 Larry Carltonらによって結成されたジャズ・フュージョン(jazz fusion)・ジャズファンク(jazz funk)代表格のcrusadersによって製作されたアルバムで、1979年に制作されました。特にタイトル曲でJoe Sampleがプロデュースした「street life」は、ゲストとして迎えたRandy Crawford (ランディ・クロフォード)のボーカルが素晴らしく、当時の1979年のJazz Albumsチャートで1位を獲得し、Black Singlesチャートで最高順位17位を記録しました。ランディ・クロフォード(Randy Crawford)の高い歌唱力と洗練されたcrusadersの演奏が融合した軽快なフュージョン・ダンスミュージックで、クエンティン・タランティーノ(Quentin Tarantino)監督作品のJackie Brown(ジャッキーブラウン 1997年公開)でもオープニングタイトルとして使用され再注目を集めた。時を超えて聞き継がれていく色褪せない名曲の一つで傑作です。
続くWilton Felder制作による「My Lady」はメロディアスで軽快なジャズファンクNo.且つスムースでメローなBPM90前後の楽曲で、洗練されたメロディーラインは故MAC MILLER”INSIDE OUTSIDE”を始め、メジャー・アンダーグラウンド問わず数々のブラックミュージックの楽曲でサンプリングされています。
全体的に高い演奏力とメロディに溢れた良質な内容で、今でも十分通用する極上の70年代フュージョンで、スムースでいてシティポップの要素を併せ持つ70年代ソウルミュージック・ジャズファンクミュージック・フュージョンの傑作です。
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