黒人を中心とするブラックミュージックに端を発した Jazzは、遠い島国の日本でも確実に影響を受け、その音楽を吸収して独自の価値観を築いている。John Coltraneを中心としたフリージャズ(Free Jazz)やJackie Mcleanのような軽快でメロディアスなジャズまで、日本人のフィルターを通した様々なJazzが生み出された。今回は日本人ジャズの名曲・名盤を個人的な観念からいくつかセレクトしてみたいと思います。どなたかの新しい発見に繋がれば幸いです。
本田 竹広(竹曠)/ 浄土
本田 竹広(竹曠)
浄土
レーベル : TRIO
評価 :
日本が世界に誇るジャズ・ピアニストの本田竹広の作品で1970年に発表されました。兄に日本が世界に誇るトランぺッターの日野皓正を持つ日野元彦(ds)と、john coltraneのカルテットにも参加していたレジー・ワークマン(b)を迎えての作品で、壮大なスピリチュアル・ジャズに仕上がっている。アルバムタイトル曲の「浄土」は、マッコイ・タイナーライクなピアノの旋律が素晴らしく、前にも先にもこれを超える日本人のスピリチュアルジャズナンバーは少ないのではないでしょうか。またグルーヴィ且つmellowで怠惰な雰囲気が最高にお洒落な「Lazy Dream」、メロディアスで疾走感溢れるフリー・ジャズ「The Way to Brooklyn」が収録されているなど、全ての曲が世界最高基準のフリーでスピリチュアルなジャズに仕上がっています。日本人ジャズを語る上では欠かせない大推薦版ですので、知らなかった方は是非一度ご視聴ください!ちなみに本田竹広の息子は、現日本ジャズドラマーで最高峰の本田珠也さんです。
【商品紹介】
本田 珠也 / Planet X
本田 珠也
Planet X
レーベル : EMI
評価 :
繊細かつ大胆自由なドラムプレイで、日本のジャズドラマーの限界点を押し上げている存在で、父にジャズ・ピアニストの本田竹広(竹曠)を持つ本田珠也が2000年に発表した作品です。
ロック、ジャズファンク、ソウルジャズ、フリー・ジャズ、レア・グルーブ、フュージョンなどあらゆる角度からのアップローチが見られ、都会的に洗練されたサウンドは現日本のジャズ・ミュージックの中でも最高峰の域に達しており、ロバート・グラスパー周辺のブラックミュージックに精通する音楽性を有しています。
スムースでmellowなフュージョンナンバーの「カメリア」や
メタル的な要素とウェザー・リポートのようなファージョンサウンド、電子音が融合した斬新なナンバーの「ラウド・マウス」や「シャッフル、ボイル」、アール・クルーのようなsteel guitarの音色が美しいスタンダードなバラードナンバー「ベティ・オン・ザ・ベッド」など、自由なリズムとメロディに溢れた実験的であり最先端のジャズの方向性を示した2000年代以降の日本人ジャズの名盤の一つです。
【商品紹介】
板橋 文夫 / WATARASE
板橋 文夫
WATARASE
レーベル : 日本コロムビア
評価 :
スピリチュアル・ジャズを中心とするフリーなナンバーから、スタンダードナンバーまで難なくこなす日本人最高峰のジャズ・ピアニストである板橋文夫が1982年に発表した作品です。
特にアルバムタイトル曲の「watarase」は、繊細でダイナミックなピアノのメロディが、遥か彼方の情景を思い起こさせるかのようなインスピレーションでイマジネイティブに富むスピリチュアルナンバーになっており、日本ジャズ史上に残る名曲の一つです。その他にも「Miss Cann」のようなメロディアスなフリージャズナンバーや哀愁漂うブルージーなバラードナンバーの「Good-Bye」まで、板橋文夫のピアノソロの醍醐味を、とことん楽しむことができる内容に仕上がっています。オススメです!!
【商品紹介】
渡辺貞夫 / Sadao Watanabe
渡辺貞夫
Sadao Watanabe
レーベル : sony
評価 :
日本が世界に誇るサックス奏者の渡辺貞夫が1972年に発表した作品で、当時アフリカの音楽性や思考に傾倒していた時期に作成された作品のようで、全体的に非常にアフロ色濃厚でフリーな内容になっています。今でも日本人ジャズファンクやスピリチュアルジャズを語る上では欠かせない名盤で、時代を超えて今でも聞き継がれている名盤です。
「mtoto」は高柳昌行のサイケデリックなギターと五月雨のように暴れる回るドラム、コルトレーンのように自由に吹き乱れる渡辺貞夫のサックスが日本史上稀に見るフリーでfunkyなグルーブを生み出した傑作です。若き日の板橋文夫も参加している点も注目で、最高のスピリチュアル・ジャズナンバーになっています。
urban blues quartet / Plays future classics
urban blues quartet
Plays future classics
レーベル : Grand Gallery
評価 :
ロイ・エアーズ・ユビキティの数々の名盤に関わり、名盤の伝説的キーボーディストとして人気を博す日本人のphilip woo(RAMP名義の名作「everybody love the sunshine」のキーボーディスト!!)をゲストに迎えた名作で、音楽レーベル のGrand Gallery から発売された。ドラムに屋敷豪太、ベースに井上富雄、パーカッションニストのGENTAによって結成されたスーパーグループで、ダニー・ハサウェイ、レニー・クラヴィッツ、ノーマン・コナーズ、RITA WRIGHTに至るまで最高の選曲で原曲を再現し、極上のグルーブとmellownessを兼ね備えるミュージックラバー必聴のソウルフルでファンキーなミュージックを堪能することができる。日本が世界に誇るべきinstrumentalソウル・ジャズファンク作品の名盤だ。
コメント