ヒップホップ黄金期の1990年代以降も、この時代に多大な影響を受けて作られた本物のHIPHOPは次々と生まれています。サンプリングを主体としたDTMの進歩により、以前にも増して複雑でクオリティの高い素晴らしい作品が生まれています。ラジオやテレビではあまり流れないけれど、オススメのHIPHOPを紹介していきたいと思います。どなたかの新しい音楽の出会いとなれば幸いです。
Wu-Tang Clan|Iron Flag
Wu-Tang Clan
Iron Flag
レーベル : Loud
評価 :
映画監督、プロデューサー、ラッパー、俳優などマルチな才能を見せるRZAを中心に、Shaolin Styleを突き通すヒップホップ集団のWu tang clanの2001年の作品。
Method man、Ghostface Killah、Raekwon、GZA、U-God、inspectah Deck、Masta Killa、Cappadonna、ODBがメンバーで、それぞれが個性的な存在感を放ち、ソロでも活躍する実力派が勢揃いしているカリスマヒップホップグループです。
HIPHOP CLASSIC入り間違いなしのフロアライクなキラーチューン「RULES」や「Uzi」、オルガンとストリングス、回転数早めの声ネタのサンプリングがgoodなタイトル曲「 iron frag」など捨て曲なしのヒップホップ名盤です。
Tyler, the creator / Call Me If You Get Lost
Tyler, the creator
Call Me If You Get Lost
レーベル : Columbia
評価 :
説明不要ではあるが、2022年グラミー賞で最優秀ラップ・アルバム賞を受賞した天才的な感覚を持つラッパーの作品である。最新のサウンドを駆使しながらも根底にあるのは音楽愛と創造性、ヒップホップ愛に溢れるフィーリングで満たされている。黒くdope、メロディアスでmellow、sweetであるという一見ジャンルレスに取れるが、90年代ヒップホップや70年代前後のソウル、ファンク、ジャズ、レゲエなどの過去の遺産を独自の感覚で昇華し、サンプリングを中心としながら生楽器、電子音を効果的に融合したハイブリッドなヒップホップサウンドに仕上がっている。
シングルとしても発表された、90’sクラシックマナーなタイトなドラムに、中毒性の高い黒くザラつた上ネタがdopeな「LUMBER JACK」やsweet&mellowな「Sweet / Thought you Wanted To Dance」、feat. Lil Wayneのフルートの音色とピアノ、Female VocalのサンプリングがGroovyな「Hot Wind Blows」など全曲抜群のクオリティで、2020年以降を代表するヒップホップアルバムの金字塔的作品であり、ジャズファンクやレア・グルーブファンも必聴なソウルフルで黒いファンクネスが詰め込まれている。
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